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菱食 中野社長

「人が資本の中間流通業だからこそ、モノ中心ではなく人中心の経営が必要です。これからは人の顔が見える経営が求められるはずですから、アクセルの手法・取り組みが広がることを期待しています。」

企業概要ならびにプロジェクト導入背景

株式会社菱食の低温・業務用部門を分社化した株式会社リョーショクフードサービス と、株式会社ニチレイの子会社である株式会社ユキワが合併し、 2003年10月に株式会社アールワイフードサービスへ。その後2006年10月に、株式会社菱食と株式会社アールワイフードサービスが合併し、新生「菱食」となる。 アクセルは2002年に中野氏が(当時)社長を務める株式会社ユキワの知的資本評価を行い、株式会社リョーショクフードサービスとの対等合併を支援。合併後の株式会社アールワイフードサービスにおいてもナビゲータ及びプロセスモデル導入支援を行った。

※ナビゲータ:経営管理及びナレッジマネジメントツールであり、バランススコアカード(BSC)の概念をより進化させたもの

合併準備段階におけるベテラン経営者のリーダーシップ発揮を支援

弊社の知的資本経営コンサルティング導入のきっかけをお聞かせください。

2002年当時はアメリカ式の会計基準が、グローバルスタンダードになりつつある時期でしたよね。あの基準はすべて、モノ中心の発想なのです。私はその価値観で、「中間流通業のような資産を持たない会社が評価されてはたまらない」と思っていました。人こそ財産ですから。また同時期に、菱食の子会社であるリョーショクフードサービスとの合併を目前に控えていました。合併相手は日本一の卸売会社でしたから、私はリーダーとして、社員に自信を持たせたかった。我々には根底にしっかりとした力があるのだということを、皆に示したかったのです。その手段として、「知的資本」という切り口が大変気に入ったのです。まずは合併前に長年培ってきた自分達の知的資本というものを、しっかりと確認する作業から入らなければならないと考えたのです。

当時のユキワは知的資本評価の結果より、各個人の力はあってもそれはあくまで潜在知であって、それが企業のパワー、つまり組織知にはなっていない状態だということが分かっていました。ですから私はまず、「個人知を組織知に変える」ということをテーマとしたのです。あの当時は、社内の豊富な潜在知を組織の力にするために、アクセルのナビゲータとプロセスモデルを導入し、全社の目標を部門、支社、担当部署ごとにブレイクダウンしていき、最終的には会社全体が「目標に向かって一つにつながる」という手法を取りました。

全社展開というと、実際にはなかなか現場が動かないケースも多いものですが、どのように現場が変わっていったのでしょうか。

ナビゲータ導入により、社員の意識改革を目指すと同時に、私は各個人が暗黙知として培ってきているスキルや知識を発表させる場を設けました。これはソリューションフェアと言いまして、現在も続いている展示会活動です。新しい中間流通業がどう自己主張するのかということを、皆に発表させる場です。つまり、私は毎年テーマを与え続けているのです。社員に対して「自ら高い目標を持て、会社の目指す志向は高いのだ」というメッセージを絶えず与え続けるわけです。これは財務的な数字では説明できないものです。全く数字ではないのです。

20世紀の中間流通業は、優れたNB(ナショナルブランド)メーカーの商品をいかに効率よく、シェア高く、正確に店頭に並べるかということで評価されてきたわけですよ。そしてリテールサイドも、それをいかに効率的に安く売るか、ということが勝負でした。ところが今は生活者のライフスタイルの変化により、そのスタイルにNOを突きつけられているわけです。ですから我々中間流通業の最大のターゲットは、生活者のライフスタイルなのです。彼らの求める売り場、彼らの求めるサービスをどう提案し、彼らの求めるものをメーカーにどう作ってもらうか。すなわち、21世紀型の中間流通業とは、生活者・リテール・メーカー、この間に立つソリューションプロバイダーなのです。これは20世紀型の卸からすれば、極めて革新性のある捉え方であり、これまでの延長線からでは絶対ありえない考え方です。

20世紀型のビジネスモデルを21世紀型に変えていくプロセスは当然大事ですよね。さらに個々人の持っている暗黙知を組織知に変え、それが業界を革新する新しい知的リーダーとして、リーダーシップを発揮できるかということに、全てがかかっているのではないかと思うのですよ。ビジネスに要求されるものは明らかに変わってきていますから。その中で我々が気づいて、作り上げなければいけないと思います。事業に対する仮説・検証を繰り返していく過程において、アクセルにユキワで支援してもらった、個人知を組織知に変える、ということが生きています。企業を伸び上がる木に変えるためには、木の根っこにある暗黙知をどうやって組織知に変えるか。まさに知的資本をどう引き上げるかということですよ。

これまでのお話を総括した上で、アクセルに期待することは何でしょうか。

経営管理の方法が、成果主義やその他の管理手法まで、アメリカ式に収斂されてきていますが、その手法を知った上で、私は「それは違うでしょう」と言いたい。本当に必要なのは人の顔が見える経営でしょう。社員が働く喜びを感じているとか、数字に現れる前の段階の、目に見えないが企業のパワーになるものをどうやって引き上げていくかということでしょう。さらに、それらをステークホルダーに対して、きちんと数値でお答えしなければならない。定量・定性と両面の価値を経営者として見ていかなければ、本当の意味での企業の価値とは言えませんからね。

だから私はアクセルに育って欲しかったのです。アメリカの会計基準が全盛の時に、全く違う北欧型の、知的資本に注目した会社が根付かなかったら、これからのわが国の企業文化が殺伐としたものになってしまうのではないか、そういう思いが私にはあったのです。それが今や私の要求する以上に大きくなりました。巨大な企業をクライアントにもつということは、知的資本の観点が、日本の経済にとっても必要な時代にきた証なのだと思い、大変うれしく思います。そして、そういう見方が日本の土壌には絶対育つはずだと確信しています。

(2007年12月7日取材)

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