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企業の競争力を左右する重要な経営資源が、資金や物理的資産から知恵に大きくシフトしている。金銭的資本が、物理的生産能力と労働機会をもたらし、市場を拡大するための最も重要な経営資源であった時代から、人材から供給される知恵が市場を創り出し、その知恵の活用力が企業の競争力を左右する時代に本格的に移行し始めている。この背景には、企業活動において知恵の希少価値性を高めるいくつかの潮流がある。 |
企業活動における環境の変化 |
1.ローカルなものだった知恵のグローバル化 |
まず、世界的な金余りと資金流のグローバル化に伴い、ローカルに生まれる知恵やアイデアに素早く資金が還流される流れが出来始めたことである。またその反面知恵は素早く国境を越えて広がり、いかに他社に先駆け知恵を企業固有の価値に変換する仕組みを構築できるかが、企業の競争力を左右する。 |
2.人材にとっての企業の位置づけの変化 |
次に、知恵の供給者である人材の労働価値観の変化が挙げられる。これまでの"生活のために労働の対価を得る"という労働観から、金銭対価により測り難い知恵が経営資源として重要度を増すことで、新しい人材と企業のあり方が求められ始めた。更に、国内においては一生一企業という価値観は既に消失し、文字通りの企業選択の自由が実現されつつある中で、"生活するための仕事"から"自己実現のための仕事"という価値観が広がっている。これにより、企業は自らの知恵と意欲を提供するに値する場所かどうか、という観点で人材から選ばれる存在となり始めている。 |
3.環境変化のスピードに対応できる仕組みの必要性 |
また、事業環境変化のスピードアップも1つの要因である。これまでの、一部のエリートが戦略や事業計画を固め、粛々と組織に実行を課す、という経営スタイルでは、素早い競合の出現や時流の変化に対応することは困難となり始めている。企業の競争力は、素早く市場の変化を体感できる現場階層の人材の知恵と働く意欲を、機動的に事業活動に反映していけるかどうかに大きく依存するようになり始めていると言える。
このような、知恵と知識の経営資源としての重要性の増大の反面、それらを企業経営に活用する方法論は未だ乏しく、企業の評価や経営手法は金銭的資本や有形資産によるものに依然として依存している現状がある。
アクセルでは、これまで一貫して知的資本をテーマとした企業評価や経営支援を手がけてきた。本コラムではその中で得られた経験や実例を交えながら、知恵が重要な経営資源化した環境下において、知的資本・知的資産を企業経営に実践的にかつ活用する経営の方法論である知的資本経営を説明していきたい。 |
※(注1)本コラムでは、企業活動に係わる人材を"知恵や意欲の投資者"と捉えて知的資本を定義し、"知恵を持続的な企業成長のために再現的に活用できる仕掛け"を知的資産と定義している。知的資本経営の概念整理は、各方面で複数の取り組みを行われており、本稿とは異なる定義がされている場合もあるが、ここでは学問的整理や精緻さより、企業経営に実践的に活用できる方法論の説明に重点を置いている。 |
※(注2)本コラムは、「ターンアラウンドマネージャー」9月号への寄稿文「企業価値向上の急所〜知的資本経営の考え方と実践的方法論〜」より抜粋したものです。 |
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